![]() TOP NEXT 彼・・・(僕の友人)は、コンビニ裏の階段に座り、僕に近況を報告させた。なにかしら僕に質問をさせないような強硬さを感じた。「んで、お前はまだあの会社でやってんの?」と聞いてくる。「やってるよ」。彼はタバコに火を点け、「アホらしいんちゃうん?」僕は「まあなあ」と曖昧な返事をした。「俺とお前がさ、同じ会社受けて、お前は受かって、俺は落ちて・・・。現に働いているお前には失礼やけど、あんなさ、教育教材の押し売りの会社にすら落ちてしまった俺って、つくづく情けなかったわ。」 「でも落ちたおかげで、お前は金を儲けることができたやんか。僕はしょうもない営業マンのまんまだし。」「落ちたおかげで・・・確かにそういう言い方はアリかもな。でもあの時は、今もそうなんだけど、社会に接点を持てない自分っていうのにすごい悲壮感を抱いていたんやで。もうヤケクソで叔父から金借りて、株をやったら、当分は遊べるほどの金を稼げたんやしな。あの時受かって、教育教材の営業やってたら今の金持ちの俺はなかったんやろなあ。あんだけの金が転がりこんだときは、小気味良かったなあ、社会に対してね。俺みたいないい加減な人間が金を稼いで、職業に貴賎はないとかいって、マジメに仕事して、酒呑んで、グチをこぼすような人間よりも何十倍も稼いだんだしな。売り逃げ、空売りの繰り返しで、しかもメチャクチャ運が良かったんやろな、俺の場合。ホント、社会に役立つことも、ハタを楽にするっていう意味で「働く」ってオッサン連中がよく言うやろ?俺なんて働くこともせずに金持ちになってしまった。こんなオモロイ事ってあるか?是非、俺を道徳の教科書に載せてほしいよ。」彼は自分で自分を強制するかのように、口を歪めてから笑いしていた。 |
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