 |
僕が宮古島に着いた時は曇天で、海の色も沈滞していた。ガイドブックに載っているような淡いグリーンの海を見ることはできなかった。4月だというのに、近畿では梅雨の時期のような生暖かさが身体を包む。レンタカー会社のアロハを着た兄ちゃんは「何もないところですよ」と笑った。僕はここ、宮古島に移り棲んだ友人が手紙とともに添えてくれた手書きの地図を頼りにその「棲みか」へと向かう。そこは島の中心部で、歓楽街と密接している。確か、友人はここにいると地図に書いてくれたのだが、人の気配はあまりなく(その時はシーズンオフだったから)、ときどきスナックから誰かが歌っている演歌が反響音とともに聞こえていた。よそ者がとても定住するような雰囲気ではなかった。狭い迷路のような歓楽街の道路を普通に車が走る。料理屋の裏門が開いていて、そこから調理する音が聞こえてきた。ゴーヤチャンプルだろう。はじめて他所に来たという実感が湧いてきた。小さい視線が気にかかった。そこここに猫が立っている。猫はよそ者には冷たい。ここの日常を乱そうとするよそ者と見なされた僕は、猫の鋭い視線にチクチク痛い思いを抱きつづけていた。
|
猫と風景の写真
撮影機材 コンタックスRX プラナー50mmF1.4 VS70−200mmF4
|