|
|
|
特に人生に希望や願いを抱いたわけではないのだが、僕は四国へと旅立つことに決めた。
人生のフリータイムが予定より何十年も早く僕に訪れた。何をしよう?何をしなければならない?わからない僕は現実逃避した。現実逃避の先は、四国。特に土佐なんていい。なるべく南。ずっと南。誰も追ってこられないほどの南。それでいて、いつでも帰ってこれる程度の南。
近畿から四国。そこからは歩く。土佐の海がみたくて、ただひたすらに歩く。鄙びた街から街へと数十里。人の数もまばらになるほどに、海の音は鮮明に聴こえる。旅館も民家もない辺鄙な漁村に着くと、猫が僕を迎えてくれた。人は周りには何処にもいない、静かな場所だった。
|